不動産売買の市場で、
たまに
「1階の駐車場をあとから店舗(や住宅)に変えた」
という物件が出ることがあります。
こういった物件には気をつけましょう
といのが今日の話です。
目次
容積率が規定を超えているのでは?
駐車場を他の用途に変えている物件は、容積率(その敷地にどれくらいの床面積をつくることができるか、という規定)を超えてしまっている可能性がもの凄く高いです。
容積率を計算するときに、「建物全体の床面積の1/5までの分の駐車場はカウントしなくてOK」という緩和規定があります。たとえば全体で1000m2の建物があったとして、駐車場の部分は200m2までならカウントせずに容積率を計算できるのです。*1
テナントビルでは出来るだけたくさん床を作った方が有利になるので、駐車場つきのテナントビルや共同住宅をつくる際は、この規定を使いつつ、容積率の上限いっぱいの建物をつくることが多いです。その方がたくさん床をつくることが出来ますね。*2
ただ、この緩和規定はずっと有効というわけではなく、駐車場を店舗など駐車場以外の用途に変えると、容積率としてカウントしなければならなくなります。
そうすると容積率を上限いっぱいにしてつくっていた建物は、この時点で容積率が上限をこえてしまうのです。お分かりのようにこれは違法工事なので、本当ならばやっちゃダメ。
増築が必要になるのでは?
たとえ用途変更後の容積率が規定上限を超えなければ、用途変更ができる可能性はぐっと高まります。次のハードルは計画が増築に該当する可能性が高いということ。「物理的な床面積はまったく増えていなくても容積率が増加するので増築!」というちょっと謎な解釈がなされて増築申請が必要というのはそんなに珍しいことではないです。
あ、この緩和規定ができたのは確か1964年(S39年)だった気がするので、それ以前に建てられた建物については上記2点は関係ないです。
用途変更がなされていないのでは?
加えて、店舗などは特殊建築物という不特定多数の人が利用する用途なので、変更する部分の床面積が100m2を超えると用途変更という確認申請の手続きが必要になります。
が、それの手続きがなされないまま勝手に駐車場から店舗に変えられている物件が多いと思うのです。駐車場を店舗にすると容積率が上限を超えるので、確認申請を出してももちろん通りません。なので申請を出さずに勝手に工事をしているのではないか...。
その他もろもろ
ここまで考えると他の規定をどこまで守っているか、けっこう疑問に思ったりします。排煙、避難、消防、etc....。どんな状態になっているか分かったもんじゃない。入っているテナントもグレーな業態だったりすることもあるのかなぁ?
まぁしかし、新たに購入しようと思っている物件がそんな状態だった場合、上層階を床面積から除外するなどしてなんとか合法的な建物にできるといいな、とは思っていたりします。需要も駐車場より店舗の方があるってことなんでしょうし。
そんなプロジェクト、やってみたいものだ...。
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