再生建築の全てを解説するブログ

 既存を活かすからこその価値を😃

再生建築のメリット(8)テナント・居住者が居ながらで工事ができる

再生建築のメリット これまでの話


新築じゃない。でもリフォーム・リノベ・コンバージョンでもない、僕の仕事について
リフォーム、リノベーション、コンバージョンと違うトコロ
1)内外装ともに新築同様の仕上がりにできる
2)新築の70%の予算でできる
3)用途の変更ができる
4)旧い建物でも耐震化させて安全にできる
5)廃材がでないのでエコ
6)新築では作れない形態にできる
7)価値のある遺産を残すことができる

逆にデメリットを少し。


引っ越し・仮住まいが必要
再生建築をした後も自分で使い続けたい、という方も一定数いらっしゃいます。通常であれば工事期間中は建物が使えないため、自分は建物の外に仮住まいをしなければなりません。そのための引っ越し×2回&仮住まいの家賃って、結構バカにならないです。


テナントの退去賃貸している場合は自分自身ではなく、入居してくれている方たちに出ていってもらわなくてはなりません。その場合はさらにハードルは高くなります。テナントに出て行ってもらう場合の営業補償、新規のテナントが入居してくれないかもしれないという空室リスクなどがあるからです。




じゃあこういったリスクをどうやって回避しているのか?


医療法人高野胃腸科

診療を続けながら建物全体を再生した診療所です


築36年のRC造3階建て、有床診療所のリファイニングプロジェクトである。地域に根ざした診療所であることから、この建物で休むことなく診察を続けたいとう院長先生の意向により、建物内部で数回引っ越しを行い、使いながらの工事を行った。また、旧耐震建物である本建物の耐震改修を行い、新耐震基準に適合させた。その他、長年にわたり使用し続けてきた設備の改修、間取りの一新、EVの増築によるバリアフリー化、確認申請の提出により検査済証の取得を計画した。リファイニングによる地域医療施設のありかたを提案したプロジェクトである。

福岡市農業協同組合本店ビル

JA福岡本店ビルを居ながらで再生した事例。特に銀行さんにとって、店舗の場所を変えると既存のお客さんが他行に流れてしまう、銀行のシステムを停止・移動させるのに多額の費用がかかるということで、特に居ながらにして工事ができるメリットは大きいようです。


築35 年のRC造の事務所をリファイニングする計画である。居ながら施工、耐震性の不安の解消、本店ビルにふさわしい新たな外観の創造という三つの要求に応えるべく、本計画ではPG工法という最新の耐震補強の工法を採用した。この工法では、鉄骨の門型フレームを外から貼付けるため、ブレース等で開口を潰す事が無く、建物の耐震性能を向上させることが出来る。また、主に外側から施工を行うので、工事中も事務所として建物を使い続けることが出来た。それと共に、この門型フレームを外観デザインの重要な要素とし、「耐震補強」が「デザイン」になるよう計画した。また、既存の外壁にタイルの浮きが見られたため、木製のルーバーを被せ、さらにその上からガラスのカーテンウォールで覆った。そのことにより、タイルの落下防止と外壁の劣化防止を図った。耐震補強や躯体保護を施す事により、既存建物が抱えていた問題を解決すると共に、新たな外観をデザインすることが出来た。ガラス越しの木のルーバーは見る位置や時間によって様々な表情を見せ、「自然」や「有機的」なものと関わるJAという団体のイメージを表現できたのではないかと思う。また、居ながら施工により約50%の大幅なコスト削減を実現した。施工により排出されるCO2の発生を対新築の1/6 に抑えることができた。これらの事が評価され、福岡市都市景観賞を受賞した。


再生建築といっても使いながら建物全体を再生することも可能なのです。


では、また!