西洋音楽史
- 作者: 岡田暁生
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/10
- メディア: 新書
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まえがきにも記されているように、本書は西洋芸術音楽を歴史の物語として語ることを目的としています。決して各時代ごとの主要な音楽家や作品をもれなく列挙するとか、それらの意義を述べるということは意図されていません。語られるのは「歴史」であって出来事ではない。
つまり
西洋音楽の中で現代の僕たちに一番なじみのある西洋音楽(バッハとはヴェートーベンとかいわゆる「クラシック」)はどこからやってきたのか?そしてこれからはどこへ流れていこうとしているのか?
ということが書かれているのです。
それを西洋音楽素人にもすごく分かりやすく書いてあるのです。
具体的には
僕らの生活に溶け込んでいる「クラシック」は徹底的に突き放して歴史上の出来事として眺め
なぜ/どこから生まれたのか どうして/どこへ行こうとしているのか 考える
逆に
僕たち一般人になじみのない(らしい)「古楽」や「現代音楽」については「クラシック」を起点にして
この心地よい「クラシック」はどうやって「古楽」から生まれたのか
あの意味不明な不協和音の「現代音楽」は「クラシック」からなにをどう乗り越えようとしているのか
と語ることで今を生きる僕らの生活とつながった音楽であるということを実感させてくれます。
という書き方がなされています。
この書き方がじつに分かりやすい。
一般的な人を読者に想定しているだけあって、音楽の専門知識を持たないこの僕でもなんとなく歴史の流れがイメージできる気がする。
音楽の歴史を知ることのメリットは、何といっても「差が分かる」ことです。どれがいいとか悪いとかいうのではなくて、歴史的文脈のなかに位置づけて把握できるということです。
あれもこれも同じように耳から入ってくるだけの ただの音と音の関係の旋律ではなくて
コンビニの商品のようにフラットに並べられたものではない
ということが分かり
「これはどこから生まれたのか」「どんな時代に生まれたのか」という背景を知ることが出来るのです。
これは
「どんな人が」「どんな気持ちで」「どんな問題を提起したのか」
ということを考えながら、あるいは感じながら聴くことができることだと思うのです。
前もってこれを読んでいれば先日のヨーロッパ旅行ももっと有意義だったのに。