再生建築の全てを解説するブログ

 既存を活かすからこその価値を😃

再生建築のメリット(3)用途の変更ができる

勝手に建物の用途を変えてはダメ
リフォーム、リノベ、コンバージョン、etc…
最近は建設費の高騰も影響してか、既存の建物を上手く活かして使うことがより一般的になってきている。特に、市場のニーズの変化にあわせて建物の使い方(用途)をガラッと変え、建物そのもののイメージまで一新してしまうようなプロジェクトが増えてきている。これ自体はとてもナイスなことなのだが、勝手に建物の使い方(用途)を変えてはダメな場合があることはあまり知られていない。または知りながらスルーという人もいないことはない。


用途変更の確認申請
建物の使い方(用途)を変更する場合は、変更後の用途が特殊建築物(たとえば店舗)で床面積が100m2(約30坪。だいたい都心のコンビニくらいの広さ)を超えると確認申請が必要になる。確認申請というのは、要するに図面を持って役所などに行き「この工事をしてもOKですよ」と了解をもらうことだ。確認申請が必要な工事であるにも関わらず確認申請なしで行うともちろん違法行為となる。じゃあ確認申請を出して行政のOKを貰えば普通に工事できるのだけれど、実はそれが結構難しく、確認申請が取れずに事業を断念することになるケースもある。


各用途ごとに定められた積載荷重がある
建築基準法では、床にかかる荷重を見込んで構造計算をすることになっている。この荷重はそれぞれの用途ごとに定められており、たとえば住宅の居室では1800N/m2、事務室では2900N/m2という具合だ。特殊な場合を除き、建物を設計する時は定められた荷重ギリギリ近くを想定する。そのため、たとえば住宅から事務所に用途を変更すると、想定以上の荷重がかかることになる。(もともと1800N/m2しか見込んでいない建物に、2900N/m2の荷重がかかることになる。)

そのため、「危険性が増大しないことの確認」が必要となる。もともと1800N/m2しか見込んでいない建物に、2900N/m2の荷重がかかるのだ。普通に考えて危険性が増大しないワケがない。危険性が増大する場合はもちろん工事は進められず、ここでも事業ストップのリスクがある。うまい方法があるにはあるのだが。。(それはまた後日。)


各用途ごとに定められた規定がある
積載荷重以外にも、各用途に応じていろいろな規定が定められている。


階段の幅などがそれだ。たとえば住宅として使っていた建物を店舗に用途変更するとする。そうすると階段幅90cmで作っていた建物だと、階段幅が140cm必要などとなる。つまり、既存の階段のままでは違法になってしまうということだ。そうならないためには、階段を作り変えなければならない。この階段を作り変えるという行為が、大規模の模様替という確認申請が必要な行為になっていたりする。用途変更以外にも確認申請が必要となる要素があるということだ。


まとめ

  1. 建物の使い方(用途)を変更する時は、変更する面積など一定の基準を超えると、用途変更の確認申請が必要となり、勝手に工事すると違法になる。一定の基準を超えなくても、大規模の模様替えなどの確認申請が必要となることがあり、その場合も勝手に工事すると違法になる。
  2. 用途変更の確認申請をすると、場合によっては危険性が増大しないことの確認が必要など、結構難易度の高い手続きが必要となる。
  3. 用途ごとに定められている様々な規定があり、用途を変えると規定に合わせていろんなところを作り変えなければならなくなることがある。しかも、その事によって用途変更とは別の理由で確認申請が必要になったりする。
  4. 軽いノリで建物の用途を変更すると、知らない間に違法な工事を行ってしまうリスクがある。