再生建築の全てを解説するブログ

 既存を活かすからこその価値を😃

再生建築のメリット(9)ボロ物件を転売できる不動産にできる その2


これまでの話


 新築じゃない。でもリフォーム・リノベ・コンバージョンでもない、僕の仕事について
 リフォーム、リノベーション、コンバージョンと違うトコロ
 1)内外装ともに新築同様の仕上がりにできる
 2)新築の70%の予算でできる
 3)用途の変更ができる
 4)旧い建物でも耐震化させて安全にできる
 5)廃材がでないのでエコ
 6)新築では作れない形態にできる
 7)価値のある遺産を残すことができる
 8)テナント・居住者が居ながらで工事ができる
 9)ボロ物件を転売できる不動産にできる その1

昨日のエントリで書いたように、空き家の増加とそれにともなう諸問題の解決、課税対象の整理のために空き家対策特別措置法が施行されました。


空き家が放置される理由としては、更地よりも住宅の方が固定資産税が安い、解体費を工面してもリターンがないなどが考えられますが、大きな理由としては


「中古不動産の流通性が悪い」


ことが大きいと思います。中古不動産の売買は新築にはないリスクがあると思いますが、特に重要なものは以下と考えられます。

  • 安心・安全性
  • 機能性
  • 劣化具合

以下、順に見ていきます。



安心・安全性のリスク
これは大きく耐震性の問題と遵法性の問題に大別されます。


遵法性の問題とは、知らないうちに違法な建物を買ってしまう可能性があるということです。建物の遵法性を証明する最強の書類は検査済証というものですが、昔の建物でこれが保管されていることはけっこう少ない。検査済証のない建物を買うということは、違法かどうか分からない建物を買うということです。

相澤巧氏:株式会社リデベ代表取締役


木下斉氏


ナカムラケンタ氏:日本仕事百貨代表



検査済証さえ再取得できれば、建物の遵法性は揺るぎないものになります。ちなみに僕の事務所では、検査済証の無かった物件についても検査済証を取得した事例があります。


耐震性の問題とは、旧耐震建築物(昭和51年以前の建物)という耐震性が不足している可能性が高い建物を買うリスクがあるということです。買い取った物件が自身で被害を被ってローンだけ残った、なんてことになりかねません。耐震補強はマストでしょう



機能的なリスク
間取りが昔ながらのもので現代のライフスタイルに合わない、壁や床の仕上げが古すぎる、という問題です。
これについては間取りを一新することはもちろん、むしろ既存の「形式」を活かすことで新築では出来ない間取りを作ることも出来ます。



劣化具合によるリスク
上記の耐震性の問題と似ているのですが、躯体の健全性が分からないという問題です。築数十年が経つ建物は、既存躯体がどれくらい保存状態が良いのか、新築時に健全に施工されているのかが分かりません。そしてこれを調べるには既存の仕上げを撤去しないといけません。
僕の事務所が主に手がけているのは建物を丸ごと再生(既存躯体以外の仕上げと設備を解体して新設)するという方針のプロジェクトです。そのため既存の仕上げを全て撤去することになり、仕上げの下に隠れている躯体の欠損状況を全てチェック出来ます。もちろん必要に応じて補修もしています。



以上、ボロ物件だと転売するにはリスクがあること、それぞれのリスク回避についてのお話でした。


では、また!