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まだまだ残っている!国が耐震化をすすめる建築物のまとめ

多くの自治体では、H27年度に現在の耐震改修促進計画の最終年度を迎えます。それらの自治体が、次期の耐震改修促進計画の検討に本腰を入れ始めているようです。
最近はアベノミクス・オリンピックにより建設業界は建設ラッシュになっていますが、同じように、多くの自治体が一斉に耐震改修促進計画を更新することにより、ひょっとしたら耐震補強ラッシュが生まれるんじゃないかと思っています。


耐震化はオリンピックまでに終わる


以下に列挙しているのは、H25年の耐震改修促進計画改正をふまえて改定された、耐震改修促進計画の例です。このように、いくつかの自治体では既に次期の耐震改修促進計画が策定・公開されています。


〈H25年 耐震改修促進法 改正 以降に公開された耐震改修促進計画の例〉


これらのほぼ全てが、H32年までに耐震化率95%を目標とする計画になっています。つまり、多くの自治体では東京オリンピックまでにほとんどの建物で耐震化を終わらせようと考えているのではないかと思われます。



これから耐震化が必要なものはピンポイント


そもそも耐震改修促進法が2006年に改正された際に、向こう10年間で耐震化率を90%にするという目標が掲げられています。具体的な目標が掲げられてからもう10年が経とうとしているのですね。


では、現時点で耐震化が終わっていない建物はなにか?


僕は以下の3点だと考えています。

  1. 不特定多数の者が利用する建物および避難弱者が利用する建物で大規模なもの
  • 地方公共団体が指定する緊急輸送道路等の避難路
  • 都道府県が指定する庁舎、避難所等の防災拠点建築物


これらはいずれもH25年改正の耐震改修促進法において

が行われることになっています。



★★★



この3つについて、もう少し詳しく見ていきたいと思います。



1.不特定多数・避難弱者が利用する大規模な建物


「不特定多数の者が利用する建物および避難弱者が利用する建物で大規模なもの」です。(具体的にはコチラ


旧耐震建築で耐震診断をすると、ほぼ確実に耐震性が不足しているという結果がでます。それであれば耐震補強工事をすれば良いのですが、建物が使い物にならないほど大量の補強が建物内部で必要だと判明してしまう可能性もあります。


耐震性が不足しているという事実だけが明らかになり、対処法はないという経営的には最悪の状況。これを恐れて耐震診断に踏み切れずにいる経営者の方、実はかなりいらっしゃるのではないでしょうか。特に、病院や旅館では集客数に直結する問題です。自分の病院や旅館が耐震性不足の建物に入居したまま何の対処もできる見通しがないなどと公表したい経営者は皆無でしょう。しかし、


耐震診断の実施と結果報告のタイム・リミットは今年の年末までと決められています。



2.災害時に使う道路沿いの建物


地方公共団体が指定する緊急輸送道路等の避難路沿道建築物」です。


これはどんなものかというと、


”災害時の緊急車両の通行が想定されている道(特定緊急輸送道路)では、道路沿線の建物が倒れちゃうと、救援物資とかの輸送に支障が出る。それを回避するために、特定緊急輸送道路沿いの建物は耐震義務化させよう!”


というものです。似たようなものに「特定緊急輸送道路沿道建築物」に対する耐震義務化があります。


これについては、地方公共団体が災害時に使う緊急輸送道路を決め、沿道建築物を耐震化させる期限を決めることになっています(特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化は上記と同じくH27年度まで)。そして今のところ公開されている耐震改修促進計画では、どの自治体もほぼH32年をタイム・リミットに指定しています。東京オリンピックまでに緊急輸送道路の整備をしようということですね。



3.防災の拠点


都道府県が指定する庁舎、避難所等の防災拠点建築物」です。


これについては、地方公共団体が防災拠点建築物を決め、それらを耐震化させる期限を決めることになっています。こちらもやはりH32年が耐震化の期限にされていることが多いようです。



いかがでしょうか。



今日は

  • H25年に耐震改修促進法が改正され、H27年に多くの自治体で耐震改修促進計画が最終年度を迎える
  • それにともない各自治体がH27年以降の耐震改修促進計画をつくり始めている。
  • これからは以下3点の建物の耐震化が行われる
    • 病院や旅館などの不特定多数・避難弱者が利用する大規模の建物
    • 災害時に使う道路沿いの建物
    • 防災の拠点


というお話でした。


では、また!