躯体が健全であることー旧耐震建築物を再生するときの条件
建物を再生する際には昭和56年以前であるかが重要である。
なぜなら昭和56年に耐震基準が大きく改正され、
それ以前の建物は旧耐震建築物であるからだ。
青木茂先生の新境地!築81年の爺ちゃん建築をいったんRCの躯体まで戻して再生!福岡県北九州市の「旧戸畑区役所庁舎(築81年)がおしゃれ図書館に変身! その工事前&工事後が鮮やかすぎる - おさんぽ - Jタウンネット 東京都 http://t.co/LAhzkN6rQN
— 建築エコノミスト森山 (@mori_arch_econo) 2014, 5月 3
この業界では大前提の事実ですし、
それなりに本腰を入れてリノベやなんかを検討された方も
ご存知だったりするはず。
今日は、再生建築をするうえでの
- 既存躯体の強度を把握することの意義
- 躯体の強度を把握するためにどのような作業をするか
について書きます。
再生建築のスタンス
僕たちは、
”(当時の規定では)適切に建てられたけど、その後に耐震基準が変わってしまったけん、現行の耐震基準で構造計算しても「耐震性に問題なし」になるように補強するばい!”というスタンスで設計をしています。
逆に新築時の工事が手抜きで躯体がボロボロだったり、
調合がきちんとされていなくてコンクリートの強度がかなり低い建物だと、
ものすごい量の補強量が必要になります。
そうすると、結果的に建て替えとほとんど同じくらいの工事費が必要になったりします。
だったら建て替えたほうが良くない?という話になるのです(コストをかけてでも再生したい建物は別)。
そういう理由で、
躯体を構成するコンクリートやスチールが健全であることが設計をスタートするときの前提となります。
もうちょっと具体的にいうと、
以下の様なことをいつも調べます。
RC造:
- コンクリート圧縮強度
- 鉄筋の状況
S造:
- サビや腐食の有無
- 溶接の状況
調査項目
では、スタンスとかは分かったけれど、
実際にどんな調査をしているのか。
以下は、僕たちがコンクリート造の建物を再生するときに行う調査の例です。
コア抜き調査(3箇所/フロア)
- 圧縮強度試験
- 中性化試験
はつり調査
- 鉄筋の経・フック・形状の計測&サビの確認など
寸法の実測
- 躯体の寸法を実測
以上、今日は
- 躯体を構成するコンクリートやスチールが健全であることが再生建築の前提
- 躯体が健全でないと補強量がものすごい量になる
- コア抜きやはつりなどの調査を行う
というお話でした。
では、また!