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アキヒロワタナベの再生建築について

 既存を活かすからこその価値を😃

ダリを理解するには|ダリ展レビュー

ダリ展、行って来たので気づいたことをメモ。 

  

もともとぼくがダリに対して持っていた印象というと

 みたいなイメージが自分の内側から湧いて来る孤高の天才系の作家だと思っていた。

けれど今回の展示会でその認識が180°変わって、むしろダリは古代から同時代の作家や作品について豊富な知識を学んでおり、そのデータベースを編集することによって創作をしたタイプの作家なんだという理解に変わった。

 

データベースの形成期

会場で最初にお目にかかるのがこれ。

魔女達のサルダーナ

 1918年の作品。ダリが生まれたのは1904年だから、彼が14歳のときに描いたということだ。中2の歳でこんな絵を描くなんてかなり大人だなーと思っていたら、ある絵に似ていることに気がついた。

この10年くらい前にマティスによって描かれたフォービズムの重要な作品を、ダリは明らかに意識している。

 

続いてこれ。

 

アス・ピアンクからのカダケスの眺望

 これはセザンヌの影響を受けている。というより、セザンヌの絵を観て技術を学ぶために描いたという感じがする。

 

どんどん次行きます。

 

ラファエロ風の首をした自画像

この頃になるとタイトルで参照元を宣言し出す。これは1921年、ダリが16歳の頃の作品。今の日本だと、高校1年生が北斎と自分を重ねて村上隆風の自画像を描く、みたいな感じだろうか。

  

キュビズム風の自画像

ブラック、ピカソの影響。 

 

アス・リャネーの浴女たち

 こちらはぼくも大好きなスーラを下敷きにしている↓

ほかにはコルビジェも活動していたピュリスムみたいな作風の作品も残している。

 

このように、10代の後半のダリは、当時評価を受けていた作家の作品を観ることで、技術を学びながら絵のトレーニングを重ねていたのだと思う。自画像でラファエロと自分を重ねていることからも分かるように、単純に技術的な修練というよりはオマージュを感じながら少しでも巨匠に近づきたいと想いながら絵を描いていたらしい。

10代半ばでそういったことに関心を寄せるのだからきっと教養高い家庭に育ったのだろうと思う。興味の対象も毎年のように移り変わり、この時期に培った技術力と歴史的な文脈の知識が全盛期を支えるデータベースになっているとぼくは思う。

 

にしても、中高生の頃にこんな絵を描けていたなんて・・・!

いろんな作家の作風や技法を取り入れていける器用なタイプだったみたい。

 

自分の作風を出しはじめる 

ダリっぽさが初めて感じられた作品がこれ。

水の中の裸体

ダリっぽいと感じたのはほとんど直感だけれど、スケールの狂いや写実的なところに加えて、何を参照したかが分からなかったことが大きいのかも知れない。

 

子ども、女への壮大な記念碑

この辺りになるともう一目瞭然でダリの作品と了解されるようになる。よく見るとモナリザが描いてあったりして、若い頃に吸収し続けた過去の作品がベースになっていることが分かる。 

 

珍しいものだとルネサンスからマニエリスム時代の建築家が出て来たりする。。

 

パッラーディオのタリア柱廊

 

 関心の広さ

冒頭で10代のダリが様々な作家に惹かれながらトレーニングしていたと述べたように、全盛期のダリも広い範囲に関心を寄せて活動していたみたい。

 

特殊な装置を使うことで3Dに見える絵画らしい。

雲の中の戦い(立体鏡絵画) 

 

絵画だけでなく舞台のデザインも手掛けている。こういった仕事をこなすことで経済的にも成功し、かつ大衆にもアピールできたみたい。

狂えるトリスタン

 

原子力をモチーフにしている。これまでの作品とは違って、過去の作家も作品も引用されている感じがしない。純粋に原子の世界を描こうとしているように思える。

素早く動いている静物

  

逆にこれらは古典的な文脈に寄り添うことでアカデミックになっている。

ラファエロの聖母の最高速度

手押し車

 

原子力と切っても切れないヒロシマナガサキもテーマにされている。

ラウニウムと原子による憂鬱な牧歌

 

ウォルト・ディズニーとのコラボまで!

ディスティーノ

 

とにかく過去の文脈を参照しまくる

冒頭の繰り返しになるのだけれど、やっぱりダリってどこからともなく湧いてくる自分の内なるイメージをキャンパスに描いてるのではなくて、(ダリがいた)現代を色んな角度から芸術史の文脈に結びつけることで、現代を歴史上に位置づけるっていう作業をしていたように思える。

言い方を変えると、「今はこれまでとどう違うのか?」を描いてきたんじゃないかなー。

 

そういった作業の成功は、膨大にインプットされた歴史の文脈と技術力に支えられているんじゃないか、と思った次第。

 


では、また!

 

 

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