国をあげて既存ストックの活用が後押しされてますね〜。
【低所得者向けに空き家活用へ】国土交通省は、低所得者向けの住宅に空き家を活用し、家賃を一部補助する方針。公営住宅を十分に供給できないため。 https://t.co/VovtsCKwVp
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) 2016年7月21日
政策としては共感する部分いっぱいあります。国や自治体の財源を削らなきゃいけないこの時代に、全国に空き家がいっぱいある。この空き家を低所得者向けの住宅にすれば、公営住宅つくらなくてイイじゃん!ていうことですよね。
がしかし。そー上手くコトは運ぶかなって思う点もあったりするので、「空き家を低所得者向けの住宅に活用するにあたっての障害」を挙げてみます。
空き家の増加→スグ住める空き家の増加ではない
たぶんこの制度をつくっている人たち的にはあーんまり見えていない点なのだと思うけど、住宅っていうのは放置してればすぐに痛みはじめるもので、全国にある空き家はスグに入居できる状態では(おそらく)ない。みなさんだって、何年も人が住んでなくて手入れもされていない家に「ここに住んでいいですよ」って言われても、住みたいって思わないはず。「そんなとこに住むくらいなら家賃ちょっとアップしてでももうちょいマシなとこを選びます」ってなるよね。
わざわざ第3者に入居して欲しいオーナーは少ない
完全にぼくの仮設なのですが、戸建ての空き屋って1番多いのは「子どもが実家を出て独立し、親が引っ越したり他界して空き家になったパターン」がダントツで多いと思うんです。
この場合、子どもも親も特にこの家を必要としているわけではないでしょう。でも、わざわざ見ず知らずの誰かに入居してもらいたいとはあまり思ってないはず。これを読んでくれている(もし空き家の実家とかがあれば)アナタもそー思うのでは?多くの空き家は「いつか子どもが地元に帰ってくる時のためにとっておきたい」と考える親や「自分も親ももう住むことはないけど、自分が生まれ育った実家は残しておきたい」と考える子どもによって所有されてるのではなかろうか。
一部の「せっかく空き家があるんだからこれで副業ビジネスしてみよう」と思う人は、この制度を待つまでもなく勝手に始めちゃってるよね。Airb&bに登録するだけだし。「ローンの支払いが残ってヤバい」みたいな家庭の住宅はすぐに市場に出されて次の入居者がめでたく決まるだけ。
つまり、世にある大半の空き家は「売るのも第3者に入居されるのもイヤだ」と考える人に所有されているんじゃないかな〜。
どうせ他の人に使われるなら属性のいい人がいい
極めつけは「空き家になっている実家に第3者を使わせて儲けよう」と思っている人たちが、ビジネスのターゲットとして低所得者を選ぶかという問題。
キレイゴト言っててもしょうがないので書いちゃうと、どうしても実家を赤の他人に使われることになるんなら、自分と同じか(ほぼありえないけど)ちょっと上の層の人に使ってもらいたい。そう思っちゃうのが人情じゃないかって気もする。
この政策を考えたお役人たちは、自分の思い出がつまった実家に低所得者の人に住んでもらいたいと本気で思ってるのかなぁ?
既存ストックを有効に活用しないと!という現代ならではの課題ではあるけれど(全国にある住宅のうち7戸に1戸は空き家!)、人がどーゆー家に住みたいかを考えるのはとても大事だよね、と思った次第です。
では、また!
はじめましての方へ
- 自己紹介:ぼくのことと再生建築について
- スタートのきっかけ:新築じゃない。でもリフォーム・リノベ・コンバージョンでもない、僕の仕事について
最近よく読まれている記事