【用途変更|バリアフリー|法改正】2017年は既存ビルに保育所・幼稚園を作ろう!
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
今年の一発目は、2017年は既存ビルに保育所・幼稚園を作りやすくなるよという話です。
背景:バリアフリー法がネックで既存ビルを活用できない
都知事選のころから公約に掲げているとおり、小池知事は既存建物の有効活用による待機児童ゼロをめざしています。
「待機児童ゼロ」を目標に保育所の受け入れ年齢、広さ制限などの規制を見直す。保育ママ・保育オバ・子供食堂などを活用して地域の育児支援態勢を促進する。
あらゆる都内遊休空間を利用し、保育施設、介護施設不足を解消。同時に、待遇改善等により保育人材、介護人材を確保する。
で、この最大のネックになっているのがバリアフリー関連の法令なのです。 バリアフリー関連の規定は東京だと、最低でも以下の3つを満たす必要があります。
バリアフリー関連の規定が適用される理由
淡々と解説するので、ここは興味のある方、具体的な理由が知りたい方のみどうぞ。*2
1.規模
1のバリアフリー法は基本的に2000m2を超えるような規模のものだけが対象になっているのですが、2のバリアフリー条例や3の東京都福祉のまちづくり条例は、保育所などについては規模に関係なく適用されます。
2.行為
「新築」のみならず「増築」、「改築」、「用途変更」をする際にも適用されます。
つまり、既存建物を「用途変更」して保育所や幼稚園を入れるときは、「規模に関係なく」建物をバリアフリー化させないといけないのです。
参考:バリアフリー化の整備が義務付けられる建築物/東京都都市整備局
保育所を入れるためにビルをバリアフリー化できるわけない
たぶん保育所の運営者には自明なのかもですが、そもそも保育所を立ち上げるだけでもかなりハードルが高い(とぼくは想像している)のに、用途変更するために建物をバリアフリー化する費用まで工面するなんて無理すぎるという理由で開設を断念している方は、相当数いるのではないかと思います。
バリアフリー化するにはどんな設備をつけなきゃいけないかは、こちらに詳しく載ってます。
参考:東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアル(平成26年版) 東京都福祉保健局
「だれでもトイレ」を付けるとか、ちょっとスロープを付けるとか、そんなレベルじゃないんですよね...。既存ビルにエレベーターを新設することは技術的にはできることなのですが、その費用まで負担するともはや事業としては成り立たないでしょう。
バリアフリー化させずとも用途変更できるようになるよ
この矛盾については国レベルで議論されていたっぽくて、昨年に閣議決定されてから国交省・東京都が規定を改正すると表明しています。
待機児童対策として小規模認可保育所の設置を促進するため、共同住宅の 用途変更による小規模認可保育所の設置について、東京都が、バリアフリ ー法に基づく「東京都建築物バリアフリー条例第14 条」に係る具体的運用として、小規模認可保育所については、基準を満たさなくても円滑に利用できる旨を通知により明確化できるよう、国においても、小規模認可保育所について同法の建築物移動等円滑化基準への適合を義務付けていない旨を明確化した上で、子どもも含めた生活者の自立した生活の確保といった同法の趣旨を踏まえ、小規模認可保育所において利用する者が想定されない設備等に関する規制を求めないなど、合理的な運用を促すための所要の措置を速やかに講ずる。
要約すると、『共同住宅を用途変更して小規模認可保育園にするときは、バリアフリー化させんでもいいように、国としても法令を変えていくバイ!』って感じでしょうか。
その他、国交省や東京都の言っていることはこちらをご覧ください。
参考:高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例 第 14 条の適用に係る基本的な考え方について
EVの設置なしでOKになるよ
法改正の対象となる用途は高齢者、障害者、子どもの3つの分野になっています。
その中で障害者、子どもの2分野については、一定の要件を満たすことを条件に、EVを含む「移動等円滑化経路(敷地の外から室までフラットな床で行ける通路)」の設置が免除になっています。
設置免除の理由としては「子どもは親がだっこすれば良いやん!」っていう感じみたいです。その通りっちゃその通りですね。ジムに行くよりよっぽど良いでしょうし。
ということで、都内で保育所の開設を考えている皆さんや、以前建物をバリアフリー化できずに断念した皆さんは、法改正を待ちつつ良さそうなビルを探しましょう!
では、今年もよろしくお願いいたします!
はじめましての方へ
自己紹介です
ブログスタートのきっかけ
*1:正式には高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例
*2:あくまで現時点でのぼく個人の見解なので、正確には特定行政庁に確認してくださいね。