アキヒロワタナベの再生建築について

 既存を活かすからこその価値を😃

【用途変更|検査済証なし】代替手法で用途変更が可能に【保育園】

【用途変更】2017年は既存ビルに保育所・幼稚園を作ろう!シリーズです。

過去の連載はこちら。

【用途変更】2017年は既存ビルに保育所・幼稚園を作ろう!ー世田谷区ー

【減税|用途変更】2017年は既存ビルに保育所・幼稚園を作ろう!その2

【用途変更|バリアフリー|法改正】2017年は既存ビルに保育所・幼稚園を作ろう!

 

 

世田谷区では条件つきで検査済証なしのビルでも保育所を開設することができるようになりましたが、今回はその背景・経緯をご紹介。

 

区長自ら音頭を

待機児童に悩まされ、新たな保育園の用地もない自治体としては「既存ビルの活用は是が非でも可能にしたい!」という思いなのでしょう。小池知事も既存ビル活用による待機児童問題の解決を公約で掲げてますしね。

 

11月22日午後、東京都庁で「待機児童解消に向けた緊急対策会議」が開催されました。小池百合子知事の呼びかけによるもので、待機児童対策に取り組む特別区及び多摩の首長31人が一同に会しました。

世田谷区長となって5年半となりますが、東京都が呼びかけて首長が集まる対策会議は、これまでの石原慎太郎猪瀬直樹舛添要一都知事の時代には、一度も開催されていません。

 

保育園の受け皿をつくるためには、土地・建物が必要です。私が世田谷区長となってから5年間で、61カ所の保育園を整備、4700人分の保育園定員を拡大してきたため、今年度になって3歳児以降の待機児童はほぼ解消に向かっています。認可保育園をたくさん開園したことによって、待機児童は「0・1・2歳」に集中している状況です。

そうしたなかで、低年齢児の保育施設として、認可保育園ではなく、都の制度である「認証保育所」を確保していこうと、既存建物を活用して素早く開園することが求められています。ところが、保育園整備のために物件探しをしていて、駅近くの1階にあって、「2方向避難」が可能で、築年数も20年以内の鉄筋コンクリートのビルが見つかっても、一枚の紙がないために断念するケースが続いていると私は訴えました。

 

竣工後の「検査済証」がないことで、これまで「保育園開設予定物件」はボツになっています。規制緩和というなら、待機児童対策の有効な手段として、この問題を解決するべきだと問題提起をしたのですが、東京都福祉保健局長からは、会議の終了前に噛み合わないコメントがありました。公開の会議で問題提起した以上、重要な論点なので、後半で詳述したいと思います。

 

さて、冒頭に記したように「保育の規制改革」のところで、私は具体的な提案をしています。規制改革といっても、子どもの生命や安全に関しては万全を期すべきだと思います。そこを述べた上で、認可保育所認証保育所をつくるにあたって、「検査済証」のない建物を保育に活用できるように、東京都自らがルール変更すべきだというものです。以下、発言を再現してみます。

 

「物件の中で、とりわけ認証に適しているような、しっかりしたビルで、『2方向避難』ができて、1階でと、『これは保育園にぴったりだね』というところであっても、いわゆる検査済証がないということで断念せざるを得ない例が非常に多い。これは、検査済証に代わる例えば耐震などチェックしていただいて、検査済証がないんだけれど、子どもの安全にとって大丈夫だよと、いうところでクリアーしていただけるような、都の方でも規制緩和をしていただき、安全は確保したうえで(活用できるよう)要望したい」

続けて、高野之夫豊島区長が「関連して」と手をあげ発言しました。

今、世田谷の保坂区長さんのお話の中で、いわゆる保育所を設置する場合にですね、建物のやはり検査済証がないと、これはもう認可にならないということですけど、豊島区の場合は(昭和)50年ごろから平成12,3年ぐらいまでの建物には検査済証がないことが多い。

こうした物件を活用して認可保育園を作りたいというのが現場の声でございますので、検査済証がなくてもある程度なんとか基準を満たして、認可保育所の物件として認めてもらえるような、そういうようなかたちを東京都の方で働きかけてもらえれば、保育所の設置が非常につくりやすく、対応できるのではないか、是非そのあたりをお考えいただきたい。

  

私のように待機児童が多い自治体の首長は、「空きテナント」を見れば、すぐにでも保育園に出来ないかとチェックしながら歩いています。また、保育課では、区民から「自分の持っている不動産・建物を保育園にできないか」という有り難い相談も日常的に受けています。

しかし、先にふれたように、築20年以内の鉄筋コンクリートの建物で、商店街の角地にある「2方向避難」が可能な、専門家も「構造上、安全性に問題はない」と判断する認証保育所等の候補物件としてのビルの一室であっても、「検査済証」がないことで「断念」して悔しい思いをするという体験を、何度も繰り返しています。この点は、世田谷区議会でも指摘されています。

 

認可保育園の許認可権を持ち、認証保育所を運営する東京都に対して、保育園運営事業者は「検査済証」という1枚の紙を求められるのです。

 

私や豊島区長が指摘しているのは「検査済証」がそもそもない物件については、東京都の要網や細目で記述がない以上は「門前払い」となってしまう問題なのです。 

 

それでも、建築確認がおりていて、一級建築士等の専門家により構造上、安全上の問題がない物件でも、代替措置を講じて保育園整備が進むようにする権限は東京都にあります。この会議のテーマの一つが「規制緩和」である以上は、許認可権も持ち、制度運営をする東京都が「要網」や「細目」に代替措置を書き込めばいいことです。

一度建物が使用されてしまうと、事後的に改めて「検査済証」を取得できないという建築基準法の硬直的な制度設計にも問題はありますが、杓子定規に「検査済証」を絶対化し、これだけ要望の強い保育園整備に「既存建物」のストックを生かす道を閉じたままにしているのは、賢い選択ではないと思います。

 

 参考:保育園に「既存建物を活用できない壁」に穴は開けられるか | 保坂展人

 参考:保育園整備の前に立ちはだかる「壁」に開いた風穴 | 保坂展人

 


では、また!

 

 

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