こんにちは。再生建築の渡邉です。
新築もやっていますよということで、
今回は新築の木造住宅です。
30代夫婦のためにつくった住宅です。
敷地は京都駅から30分ほどの宇治市内に位置する住宅分譲地。幹線道路を1本裏側に入った一画に位置しており、幹線道路が走る東側はやや喧噪的で、西側には長年住宅地として育まれた穏やかな環境が広がるという対照的な状況が相対する場所でした。
建替え前の住宅はこの文脈にうまく馴染めずあらゆる窓が閉ざされていたため、この状況を改善するように新たな住宅を計画しています。
建物の形状は敷地にあわせて4間×5間の箱形にしました。耐力壁で外周を囲ったボックスを中央の耐力壁で分割し、南側の2層吹き抜けからなるヴォイドと北側で積層させた諸室が対面する構成としています。季節や時間に応じた光の取り込み方、隣家や前面道路との視線や東側の幹線道路からの音の遮断などを考慮して位置や大きさを決めながら開口を空けています。
特に奇をてらったデザインはしておらずある意味で平凡な住宅ですが、例えば窓の計画ひとつ取っても
- 季節に応じた日射の取得・遮蔽・・・夏は暑い直射日光が入らず、冬は部屋の奥まで日当たりが良い
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時刻に応じた日射の取得・・・朝日がキッチンやダイニングに差し込み、お昼にリビングや和室が陽だまりとなる
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視線の調整・・・住人は外を眺められるが隣家や前面道路からは内部が見えない
など、よくあるメーカーの量産型住宅よりは断然快適な住宅となっています。
全ての決定には解体前の既存住宅に対するリサーチが活かされており、建替えとは言え「既存の調査を設計にフィードバックする」という過程を経たこの住宅は、ある意味では再生建築と同じような作業により設計されたのかな、と振り返っています。
思えばこれだけ国土が開発し尽くされた今の日本では、白紙の大地に線を引く行為よりは、先人が引いた無数の補助線を読み取りそこに新たに手を加えて行く事の方が、はるかに一般的になって行くのではないかなと思っています。
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