手紙/東野圭吾
今回は最近読んだ本の感想を。
東野圭吾さん「手紙」という作品です。
*
もう10年も前の話。
小学生の時、担任が
「どうして“人”っていう言葉と“人間”っていう言葉があるか知ってる?」
って話をしてくれた。
もちろんクラスの誰も知らないし、
いちいちそんなことに気づいてるヤツもいなかったと思う。
その先生によると、もともと人と人間は大きな意味の違いがあって、
“人”は分類学的な意味でのホモ・サピエンス、
“人間”は他の人とのいろいろな関係(つまり世間)を持つ存在
のことだったんだって!
(ちなみに昔は「人間」を「じんかん」って読んだらしいよ!)
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/10
- メディア: 文庫
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で、本のレビューで何でこんな話をしたかっていうと、
この本の伝えたかったことがこの話に通じると感じたから。
主人公は高校生で、彼の兄貴が弟の大学の授業料を用意しなければという
愛情と義務感から盗みに入り、誤って人を殺してしまう。
その後「強盗殺人犯の弟」という枠泥にまみれ
主人公はこれまでよりずっと理不尽で多難な人生が始まり…。
以前、冤罪事件がニュースで報道されたことを思い出し、
改めてこの本(の言ってること)の大事さが身に染みる。
人を(生物学的な意味でも社会的な意味でも)殺すということは
人間にとっての本質である“間”を断ち切ることになる。
(そんな“間”の抜け落ちた状態を、先生はマヌケと呼んでいた。)
そのことを気づかせてくれ、再確認させてくれたこの本。
自分が今どんなにラッキーか、よく分ります。
人間にとっての本質が“間”である以上、俺はもっと
利他的に生きなければならないし、
そうすることが結局自分に帰ってくると思うのです。
そんな大事なことを思い知らせてくれた東野さんに感謝!
では、また。