再生建築の全てを解説するブログ

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再生建築の背景3/待ったなしの最初の山

これまでの話


1)再生建築の背景/建物ストックがあまりはじめた
2)再生建築の背景2/建設数の変遷

前回までは建物の数がどのように増加してきたのか、時代のトレンドについて書きました。同じ頃、人の数はどのように変化したのでしょう。




人口が減少する現代では住宅があまりはじめている


下記のグラフは総住宅数、総世帯数、空き家率の変遷を示します。



*1

グラフを見ると、世帯数の増加を上回るペースで住宅数が増加しています。当たり前ですが、住宅があまるので空き家率も上昇しています。必要な量を超えて住宅を建てているということですね。しかも世帯数の増加も今年で終わりなので住宅を建て続けるとますます空き家が増加すると思われます。



決断を迫られる最初の山(築40年くらい)のストック


このようなことが起きている原因のひとつに、建物を建てる理由が「床が足りないから」から「儲けるため」にシフトしたことだと前回エントリで書きました。床が足りないから建てられたストックは、昭和48年ごろまでに建てられた第一の山までです。

この第一の山に属するストックが、今、一斉に更新時期を迎えています。問題点は老朽化、生活スタイルの変化、設備の劣化、耐震性の不足など建物全体に渡ります。築40年を超えるこれらのストックは劣化等への対策が緊結の課題でがまったなしの状況です。全国でも「団地再生」の名のもとに既存ストック活用の方法が試みられています。


連載:団地再生物語 | 住まいのコラム | 無印良品の家
ひばりが丘団地 ストック再生実証試験 - UR都市機構
住棟改善とは? - 賃貸ならJKK東京【東京都住宅供給公社】


これらの組織は、自分たちが第一の山の時代に建てまくったストックを、全て壊してまた建て替え直すだけの体力はきっとありません。でも、放置してるとどんどんストックは使えなくなる一方です。

第一の山のストックは、壊すか、再生するか、今すぐ判断しなければならない時期にきていると思います。





以上、今回は

・最初の山のストックが一斉に更新時期を迎えている
 =再生するか建て替えるかの判断を迫られる
・この山を全部建て替えるのは不可能と思われる以上、なんとか維持するしかない
・いまを逃すと次はない


というお話でした。



では、また!

*1:統計局HP 平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約より