再生建築の全てを解説するブログ

 既存を活かすからこその価値を😃

再生建築のポイント1/遵法性の確保

新しいシリーズ



その物件、検査済証あります???


役所で再生建築についての協議をするとき
(=既存建物の増築・改修・用途変更などで確認申請を行うとき)に、
必ずと言って良いほど最初に聞かれることです。


多分、中古の不動産を売買する際にも最重要の確認事項になると思います。


なぜなら、中古物件で建築確認を行う際にも、中古物件を売買する際にも、
既存建物が遵法性を確保していることが大前提だからです。


そして、検査済証こそが、既存建物の遵法性を証明するうえで最強のツールなのです。




平成11年以前は検査済書が発行された物件は少ない


以下のグラフは、ここ15年くらいにおける検査済証交付件数および完了検査率の推移を示しています。

*1


グラフによると、平成11年時点の完了検査率(特定行政庁と指定審査機関の合計)は約80%です。つまり、だいたい8割くらいの建物が完了検査を受け検査済証を受領したということになります。それ以降の完了検査率は年を追うごとに上昇し、平成24年時点ではおよそ90%程度になっています。
それに対して、平成10年での完了検査はなんと38%です。つまり、平成10年の時点では6割以上の建物が検査済証を受領していないということを意味します。グラフの傾向から考えると、それ以前の建物が検査済証を受領している割合はさらい低いものになると考えられます。



違法な物件を売買しているかも知れないというリスク


検査済証が発行されていない不動産を売買するということは、遵法性を証明できないあるいは著しく困難な不動産を売買するということを意味します。このことは具体的に以下の様なリスクを持つことになります。

  • 違法物件で災害発生したときの所有者リスク
  • 確認申請が必要な行為(増築、大規模な修繕や模様替、用途変更など)が著しく困難になる
  • 再販が難しい、もしくは販売価格が著しく低下する

以上、今回は

  • 建物の遵法性を証明するうえで最も有効なものは検査済証である
  • 平成11年以前では検査済証が発行された物件が少ない
  • 検査済証が発行されていない不動産を売買することは違法な物件を売買しているかもしれないリスクがある

というお話でした。


では、また!

*1:検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン国交省)より