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ホテルの耐震性ー鬼怒川のホテル倒壊から考える



記録的な大雨が続いていますが、その影響でなんと
栃木県日光市でホテルの一部が崩落
してます。




50年に1度とも言われている記録的な大雨により、鬼怒川では河川の氾濫が起こっています。その影響で河沿いにある廃業したホテルの一部が崩落したみたいです。



幸いにも(?)今回崩落したのは廃業した運営中のホテルの建物のようでにもかかわらす、今のところ人的な被害が出ているという情報は見当たりません。*1




今回の件で人的な被害が生じないように願うばかりですが、今後はどうなるか分かりません。こんなのは氷山の一角で、耐震性や安全性が不足しているけれどもそれが顕在化していないだけとうい事例は日本中に山ほどあるはずです。


なぜなら、多くのホテルが昔の耐震基準で設計・建設された「旧耐震建築物」だから。


そもそも、ホテルや旅館の耐震性不足は国交省でも問題視されており、現在の耐震改修促進法では階数3および床面積の合計5,000m2以上のものは、2015年末までに耐震診断を行い、その結果を報告することが義務付けられています。


今回の改正では、病院、店舗、旅館等の不特定多数の方が利用する建築物及び学校、老人ホーム等の避難に配慮を必要とする方が利用する建築物のうち大規模なもの(対象となる建築物の用途と規模についてはこちらをご覧ください。)などについて、耐震診断を行い報告することを義務付けし、その結果を公表することとしています。



国交省HPより抜粋して引用)


よく読んでみると、耐震診断が義務化されるだけでなく、
耐震診断の結果が公開することも決定されています。


これは、ホテルのオーナーや経営者にとっては、

  • 耐震診断によって建物の耐震性が不足していることが明らかになるってしまう
  • その情報が世間に公開されてしまう

ということを意味します。一気に廃業に結びつきかねないほどのは死活問題です。


なぜなら

  • 工事期間中は集客がゼロもなるうえ、
  • そもそも大規模な耐震補強工事を行う予算はないし、
  • おまけに耐震性の不足という情報はイメージダウンにつながりかねない

から。これ、何もイイことなさそうです。


ギリギリの経営を続けてきたホテルのオーナーや経営者の中には、
”そんなことする余裕はないし、耐震診断とかやってられんばい!”
と考えた方も少なくないはず。
そうやってひた隠しに不都合な真実を隠さざるを得ないままのホテルが、きっと日本中にわんさかとあります。



でもそんな建物でも再生して今後もずっと使い続けることはできます。
きちんと考えれば耐震補強の方法は見いだせるし、
お金がなくても条件次第では多額の助成金を受けられます。
ついでに検査済証を再取得するなんてこともあり得るのです。
ホテルのオーナーさんや経営者さん、対処はできるうちにやってしまいましょう。



では、また!



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*1:コメントでご指摘があり、崩落したホテルは現役だそうです