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【ニュース】「2階以上に飲食店」のある「木造の建物」は行政のチェックが入るかも知れない

10月8日(木)に死傷者の出る火災が発生しました。

火災は9時間にも渡って続き、死傷者3名、負傷者3名だそうです・・・。
亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。



国交省消防庁の号令により違反飲食店への徹底指導がはじまるかも


今回のポイントは、この建物が違法建築であった可能性がある点です。
この惨事を機に、国交省が飲食店に対する違反対策等の指導を徹底するよう、各都道府県に通知しています。また、同時に消防予防課長からも、これと連携して立ち入り検査等による防火対策の徹底を図るよう、各都道府県に通知が出されています。


以下、飲食店に係る違反対策の徹底について(国交省HP)より


平成27年10月8日夜に広島県広島市の飲食店において発生した火災では、死者3名、負傷者3名の犠牲を出す惨事となりました。
現段階では、火災のあった建築物の状況等も明らかではないものの、違反建築物であった疑いも指摘されているところです。
国土交通省としては、類似の災害の発生を防止するために、関係省庁と連携し、飲食店に対する違反対策等、指導の徹底を図るよう、別添のとおり、各都道府県建築主務部長あてに通知を発出いたしましたのでお知らせします。


報道発表資料:飲食店に係る違反対策の徹底について

心当たりのあるビルオーナーさんは専門家に相談を


自分の建物が違法でないと確信できない人や過去にいろいろと増改築をしている人は、専門家に相談するなり、必要に応じて建物や書類を見てもらった方が良いです。
ちなみに隠し通すことは考えない方がいいです。こんなことになります↓



以下、国交省建築指導課長から出された通知の内容を見ていくことにします。



1.対象とする建築物

以下の条件を全て満たす建築物とする。なお、対象とする建築物が多数となる場合は、未是正の建築基準法令違反があることを覚知しているものや長期間立入検査を実施していないものを優先的に指導対象とするなど、計画的に指導を図られたい。
ア 木造の建築物であること。
イ 2階以上の階に飲食店の用途があること。
ウ 延べ面積が300m2以上であること。
※ 特に、延べ面積が500m2を超える建築物や居室の床面積が200m2を超える階を有する建築物については、排煙設備や廊下幅等の規定について違反がないかどうか留意すること。

また、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和 23 年法律第 122 号)の規定に基づく風俗営業の用途に供する営業所を含むことを新たに確認した場合は、関係行政機関に情報提供するとともに、「建築指導行政における風俗営業行政との連携について(平成 13 年 11 月 12日付け国住指第 1554 号)」により、建築基準法令への適合状況等について関係行政機関から確認があった場合は、適切に対応されたい。

【要約】

  • 指導の対象は「木造」かつ「2階以上のフロアに飲食店」かつ300m2以上の建物です。
  • 500m2を超える建物では、排煙設備や(避難経路となる)廊下幅が違反していないかを要チェックします。
  • 風営法がらみの施設が新しく出来ていないかも、この際チェックします。


2.違法に建築等されている物件への対応

消防部局等と必要に応じて連携し、上記1の建築物について、建築、大規模の修繕・模様替等を行ったことにより、違反となっているものがないかどうか確認を行い、当該違反が確認された場合には、適切に是正措置を講じること。
※ 違反物件等の情報を把握した場合は、「違法行為若しくはその疑義に関する情報を把握した場合の初動対応と公表のあり方について(平成 18 年 5 月 11 日付け国住指第 541 号)」及び「違反行為若しくはその疑義に関する情報を把握した場合の対応について(平成 23 年 9 月 8 日付け国住安第28 号)」に準じて、必要に応じて事実関係を公表又は地方整備局等を通じ国土交通大臣へ当該情報を提供するようお願いする。

【要約】

  • 違反建築物があった場合は①建物がある特定行政庁、②知事、③国土交通大臣で情報を共有します。
  • 関係のあった建築士等は処分し、建物の是正等をさせます。
  • 事実関係は原則公開します。


3.防災査察の重点実施

過去に行った防災査察、定期報告等で指導した事項が是正されていないもの、細分化された個室において役務を提供する施設など、避難安全性の確保の必要性が高いもの等に重点を置いて、飲食店を対象とした防災査察を実施すること。

【要約】

  • 現地に足を運んでチェックします。
  • 対象は避難安全性の確保が重要な建物(過去の是正指導に従っていないもの、小さな個室がたくさんある施設など)です。


★★★


続いて、消防庁の予防課長から出された通知の内容を見ていきます。



1 対象とする防火対象物

以下の条件を全て満たす防火対象物とする。なお、対象とする防火対象物が多数となる場合は、未是正の消防法令違反があることを覚知しているものや長期間立入検査を実
施していないものを優先的に指導対象とするなど、計画的な指導を図られたい。
(1)木造の建築物であること。
(2)消防法施行令(以下「令」という。)別表第一(3)項ロ又は(16)項イに掲げる防火対象物で、2階以上の階に(3)項ロの用途に供される部分が存すること。
(3)消防法第 17 条第1項の政令で定める技術上の基準又は同条第2項の規定に基づく条例で定める技術上の基準に従って自動火災報知設備を設置しなければならないものであること。
※上記(2)に関して、令別表第一(2)項(ロを除く。)の用途に供される部分が存する防火対象物で、これらと同様の火災危険性が想定されるものがある場合には、必要に応じ、指導の対象とされたい。

【要約】

  • チェックの対象となるのは以下3点を満たす建物です。
    1. 木造であること
    • 消防法上の「飲食店」や「複合用途」で2階以上のフロアに「飲食店」があること
    • 自動火災報知設備を設置しなければならないもの(消防法第 17 条第1項または第2項の規定に基づく条例により)
    • 「飲食店」以外にも、消防法に基づく「キャバレー、カフェー、ナイトクラブ」や「遊技場、ダンスホール」、「カラオケボックスなど」はチェックの対象になり得ます。
    • あと、風営法による「性風俗関連特殊営業」も対象となるかも。

2 当面の防火対策の内容

(1)消防法令違反等の是正の徹底
上記1の防火対象物において、防火管理の実施状況や消防用設備等の設置状況に係る消防法令違反がある場合は、火災発生時に大きく被害が拡大することが予想されることから、違反が認められる場合にあっては、重点的に改善指導を図るなど、必要に応じ、違反処理基準に基づき早急に所要の措置を講ずること。
(2)火災予防対策の推進
次の事項に留意し、出火防止、避難管理等の徹底を図ること。
ア 階段等の避難施設及びその付近に物が放置されないよう適切に管理すること。
イ 建物周囲に燃えやすい物を放置しないなど、放火防止対策を講じること。
ウ 火気使用設備・器具を適切に管理すること。
エ 店舗内が各個室に分かれている等により、避難経路等が分かりづらくなる場合にあっては、見えやすい箇所に避難経路図の掲示を行うこと等により、利用客に対し、火災発生時の避難方法等の周知を図るとともに、施設の実情を踏まえた訓練の実施を図ること。

【要約】

  • 違反が認められる場合には改善指導を出すなどします。
  • 重点チェック項目は以下です。
  1. 避難施設(階段など)にモノが放置されて避難を妨げていないか
    • 建物周辺に燃えやすいモノが放置されていないか
    • 火器の管理
    • 利用客への避難方法の周知がなされているか(避難経路図の掲示など)、訓練がされているか

いかがですか?


おそらくですが、「2階以上に飲食店が入っている建物」と「風営法関連の建物」はほぼ何らかの形で行政のチェックが入るのではないかと思われます。ビルオーナーの方、きちんと対策をしましょう!



では、また!



はじめましての方へ


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