再生建築の全てを解説するブログ

 既存を活かすからこその価値を😃

困難な社会的課題ほど、解決できた時は大きな社会的資源になる

ちきりん&きのりんによるトークライブの記録から引用


「いかに資産をつくるのか」


少子高齢化・縮小社会のこれから戦艦大和的な「デカいものをつくれば、勝てる!」みたいなオワコン化した発想はやめて、自分たちが持っているモノをいかに上手く資産に転換するかという発想が大事になります。
いまぼくたちが生きているのは、敗戦後の焼け野原を開拓し、高度成長期やバブル期にインフラや建物をどんどん作ることで築かれた都市です。これら全部を壊してつくりかえるという発想は、どう考えてもナンセンス。無理ゲーも甚だしい。


一方で、
大都市に人口が吸い寄せられている日本中の地方では、かつてバンバン作ったインフラや不動産が老朽化しているにも関わらず、地元に残った人間では対処が行き届かず、これらが不良債権化しつつあります。


政令指定都市では北九州市がその代表でしょう。

北九州はもともとは小さな漁村くらいしかなかったエリアですが、明治期に官営八幡製鉄所ができたことで、近代化の重要都市となります。当然、人口も増えに増えて、1960年ごろには人口100万人を突破します。
ですが近代化が終了して以降パッとしないのは、皆さんご存知のとおりです。



だからこそ、ポテンシャルがあるのでは



先進国においては「成長社会からいかにして成熟社会へとシフトするか」が共通の課題です。そのひとつが、「人口が増加する一方に作り上げてきた財産を負債(=金食い虫)ではなく資産(=稼ぐ道具)にすること」になると思います。
これを都市・建築に分野に当てはめた表現にするなら、「人口増加・経済成長の時代に作ってきた都市を、いかにして負債ではなく資産にするか」がこれからの課題と言えるでしょう。
これは以前から考えていたことなのですが、昨日のきちりん&きのりんのトークを聞いたことで、より一層この考えが強くなりました。



そういったチャレンジを求められているのが、北九州です。
なぜならここまで急激に変化した都市は他にないからです。もうちょっと詳しく言うと

  • 現時点で近代化が完了しており
  • 100万人クラスの人口を抱え
  • たった100年という短期間で
  • 今の(人口・経済・面積的)規模にまで成長した
  • 元もと農村・漁村だった都市

というのは、北九州市くらいです(他にあったら教えてください!)。


この「都市が急激に近代化した」という過去が、近代化の完了した現代に「都市の大きなひずみ」をもたらしているんです。人口や経済の増加が著しかった分、成長が鈍った時の反動は大きいのは当たり前です。


反動というとなんかネガティブに聞こえちゃうかもしれませんが、視点を変えると誰も経験したことのない世界に足を踏み入れているとも考えられます。しかも、この反動は数十年後にアジア中の都市で経験されることになる。


そう考えると現代の北九州市は「急速な近代化が数十年後の都市でインフラや不動産の不良債権化を招く」という、数十年後のアジア中の都市が直面するであろう課題を、先取りして経験できているのです。


これはすごくラッキーなことです。数十年後に人口数百万クラスの都市が、こぞって欲しいと言ってくる、そんな知識や経験や技術やノウハウを、彼らに先んじて得られるかも知れないのですから。


建築・都市計画の分野で具体的に重宝されると考えられるものをざっとあげてみます。

  • 経済成長期につくったインフラ・建物の再生
  • インフラ・建物の長寿命化
  • 再開発するエリア、既存を再生するエリア、都市から野山・農漁村に還すエリアの振り分け
  • あとは・・・思いついたら追記します。

では、また!



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