こんにちは。再生建築の渡邉です。
一級建築士の二次試験、製図試験の課題が発表されました。
受験生の方はぜひ頑張って下さい。
さて、今日は建築士試験をもとに、勝手に建設業界の未来予想をしてみます。
ぼくが「建築士試験をもとに」する理由は、
だからです。
建築士試験=これからお上が重視する分野
例えばH25年に東京オリンピックの開催が決まって以降、
建築士試験の二次試験では以下がお題に選ばれています。
- H26年 温浴施設のある「道の駅」
- H27年 市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅(基礎免震構造を採用した建築物である。)
- H28年 子ども・子育て支援センター(保育所、児童館・子育て支援施設)
- H29年 「小規模なリゾートホテル」
- H30年 健康づくりのためのスポーツ施設
- R元年 「美術館の分館」
- R2年 高齢者介護施設
赤はオリンピックに必要なスポーツ施設や宿泊施設、
青はオリンピック後に力を入れたい福祉系の施設、
緑は既存建物の利活用です。
むちゃくちゃ分かりやすい。
このように、
建築士試験の出題傾向を見ていると
国がこれからテコ入れしようと考えている分野が見えてくるのです。
では、ポスト五輪はどうなるか
この考えに基づいたぼくの来予想は、
こちらのツイートのとおりです。
今年の建築士試験は
— 渡邉 明弘/Aki Watanabe (@Akkun_Nabechan) 2020年7月22日
一級も二級も高齢者がらみ。
これは「オリパラ後は高齢者対応を全国展開しますよ」という国のメッセージ。
国としてはこれから後期高齢者になる団塊世代の受け皿を準備するミッションがあるから、
シルバー対応に関する補助金を増やしたり規制を緩和したりし始めると思う。 https://t.co/LVQkMHbEou
このように、
TOKYO2020以降は 医療・福祉・介護の施設が不足する
とぼくは思っています。
というもの、
オリンピック終了とともに団塊世代が75歳を超えるからです。
団塊世代は現時点で70〜73歳。
そして人口は800万人を超えています。*2
5年以内に800万人が後期高齢者となると思うと、
けっこう衝撃です。
シルバー関連の施設が足りなくなることは明らかで、*3
霞ヶ関としてはこれらの施設を増やすことが
五輪後の仕事と捉えているでしょう。
市場を後押しするために、
様々な補助金や規制緩和といった政策が打ち出されると思います。*4
具体的には
— 渡邉 明弘/Aki Watanabe (@Akkun_Nabechan) 2020年7月22日
高齢者施設の建設はもちろん、自宅のバリアフリー改修から都心オフィスの高齢者施設への転用まで、様々なプロジェクトが動き始めるはず。
同業者の皆さま今のうちに準備を始めましょう〜。
特に社会的に必要とされるのは、
都心の事務所ビルを福祉系用途に転用する
事業ではないでしょうか。
CO-VID 19の影響で
一定数の企業がリモートワークや在宅勤務を取り入れるようになりました。
飲食店の閉店も相次ぎました。
都心のオフィスやカフェ・居酒屋が不要になるとは思いませんが、
以前のような水準まで回復するには数年かかりそうな気もします。
だったら
これから不足するシルバー施設に変えればいいんでない?
と考えるのは自然なことです。
バリアフリー改修が必要な建物が多そうですが、
都市全体でみればむしろ良いこと。
このように、
というなかなかナイスな構想が中央省庁では模索されていたりして、
とか期待していたりします。
ちなみに待機児童が問題視されはじめたからか、
幼保施設はここ数年で規制緩和が進みました。
これから10年くらいで、
一定数の建物が
福祉系の用途に再生されるかも知れませね。
標準的でない人間と建物に
ちょっと話が変わりますが、
このツイートについても。
近代は心身共に健康な人間を前提にして来たと思うけれど、それを考え直す良いタイミングなのかも知れん。
— 渡邉 明弘/Aki Watanabe (@Akkun_Nabechan) 2020年7月22日
学生時代に習ったように
色んな国や地域が近代化を目指して頑張って来ましたが、
近代化とは一言で言えば
標準化すること
だと思っています。
標準化することで人とモノが大量生産され、それが豊かさや国力に繋がりました。
そして、近代が想定した標準的な人間とは「心身共に健康な個人」だったように思います。
戦後の復興期や高度成長期には、そういった「モダンな」人間像が社会全体を引き上げるには役立ったと思います。
でも、真に標準的な人はひとりもいないし、画一的な人間像はもはや窮屈に感じられていますよね。
これから急増する後期高齢者は若者よりも数倍多様です。
これまでのキャリア、人間関係、健康状態、保有資産、いろいろな好みなど、長く生きていればそれだけ違いが濃くなっているはずです。
そういった人たちが同じような部屋が一列に並ぶ「施設」でハッピーに暮らせるとはなかなか思えない。
つまり、たぶん本当に大事なのは
標準的な人間のための建物を、ダイバーシティな人間のための建物に変えることなのではないか、と思っていたりします。
では、また!
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