少し前のエントリで、再生できる建物であることを設計前にチェックする項目として、
- 躯体の状態が悪すぎないこと
- 法的に可能であること
- 事業的に成立すること
の3点をあげました。
今回は2点目の
- 躯体の状態が悪すぎないこと
- 法的に可能であること
- 事業的に成立すること
がテーマです。
前提として、遵法性&耐震性の確保を目指すこととします
このブログでは「再生建築」をテーマとしており、リフォームやリノベーションとは異なり
- 遵法性を確保すること(確認申請をする)
- 耐震性を確保すること(耐震補強をする)
を前提としています。ここで述べているのは、そのために必要な検討事項です。
違法でないかをチェック
再生で確認申請を出す時は、
その建物が違法でないことが条件になります。
まず最初にやることは
- オーナーが持っている書類や建物の現状から、建物が違法でないと証明できるかをチェック
です。ここで検査済証があればほぼ合格です。
その後に大規模な工事がなされていなければ、
その建物は違法でないことをほぼ認めてもらえます。
検査済証がない場合に必要な作業は
- 調査や図面の復元をして、建物の遵法性をチェック
- 既存建物の遵法性を主張できる資料を作成する
です。
よく勘違いされていたり、プロに聞いてもやり方が分からないという方も多いのですが、
検査済証がなくても用途変更や増改築などの確認申請はできます。
たとえば、これ。
そもそも建築基準法すらない時期に建てられたので、もちろん検査済証なし。
これを用途変更しています。
北九州リノベまちづくり界聖地訪問のあとは同じ北九州市内の耐震補強改修界の聖地、戸畑図書館を見学してきました。北九州アツいですね。 pic.twitter.com/ZQ2JMebVLk
— Ryuji Fujimura (@ryuji_fujimura) 2015, 10月 3
検査済証なしで用途変更している点も注目してほしいなー。
#用途変更 #耐震補強 https://t.co/mWO46D4zAn
— 渡邉明弘@再生建築 (@Akkun_Nabechan) 2015, 10月 8
それからたまーにあるのが、違法だった場合。
これは程度や内容にもよるのですが、
行政と協議して(ココが難しいのだけれど)、
是正工事を行った後に確認申請を出すことになります。
全てを現行の法律に合わせる必要はない−既存不適格の整理
違法じゃないことを証明できたら、
次は既存不適格事項を整理します。既存不適格は
「新築時は当時の法に適合していたけれど、その後の法改正によって現行の法に適合しなくなった状態」
のことを指し、これらは全てを現行の法に適合さる必要はないのです。
詳細は省きますが気になる方はコチラをどうぞ。
具体的には
などが、既存不適格の維持を認められています。
設計前にこういった項目をひとつずつピックアップして、法的な根拠を整理していきます。
けっこう地道な作業です。。。
どうして設計前に?
新築やリノベーションではこんな作業はほとんどないのですが、
再生建築では、
- いざ設計が完了して確認申請を提出したら、違法だったことが判明して建て替えるしかなくなった
- 既存不適格だけれど現行の規定に合わせるように行政指導が出て、大幅に設計変更
- 現行の規定に合わせなくても良いと知らずに現行の規定にあわせて、無駄な工事費が発生
みたいがことが十分に起こりえます。
設計に費やした費用や時間がパーになってしまうのです。
そのような事態を防ぐために、設計前に入念な検討をしています。
では、また!
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