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 既存を活かすからこその価値を😃

空き家を保育所として活用する際の障壁を考えてみたよ

小池知事が空き家を保育所に転用することをオススメしているみたいですね。


家賃補助もあるらしい

リンク先から引用。太字はぼくによるものです。

東京都の小池百合子知事は9日の定例記者会見で、空き家を活用した保育所整備などに補助する待機児童対策を発表した。保育サービスの定員を今年度内に新たに5000人分増やすとし、126億円の補正予算案を28日開会の都議会定例会に提案する。


 空き家や空き店舗などを借りて保育施設を始める事業者に、家賃の4分の3(上限年4000万円)を5年間補助する新事業に17億円を計上した。空き家改修などで新しい保育施設を設ける際の補助事業(90億円)には、60億円を加算する。年度内に開設、着工する事業者には補助額を上乗せし、早期整備を促す。


Yahoo!ニュースより)


都知事自ら空き家と待機児童の問題に取り組んでいるみたいです!
今日は、既存建物に保育施設を整備するときの障害を考えてみます。



用途変更が必要

ほぼ確実についてくる問題がこれ。
保育施設でなかった既存建物に保育施設が入居するということは、建物の用途が変わるということです。建物が100m2を超えて特殊建築物に変わるときは、「用途変更」という手続きが必要になります。
用途変更の確認申請を提出するには、建物が適法(法令で認められた範囲に限って既存不適格でもOK)にする必要があります。


参考:【用途変更】100m2未満の用途変更でも建築基準法には適合しなければならない



が、この建物が適法(法令で認められた範囲に限って既存不適格でもOK)であるという建物がもの凄く少ないのです。
なぜなら、建物の建設などに関わるルールである建築基準法が、順次改正されているからです。ほとんどの建物は既存不適格(新築されたときは法令に適合していたけれど、法改正や新法創設によって、今の法令に適合しなくなった)の状態です。


で、用途変更の確認申請をするときには、法令で定められた範囲を除いて、基本的には現行の法令に適合するように改修することが必要になります。そうしないと、用途変更の確認申請は受け付けてもらえません。


さらに、既存建物で用途変更や増築などの確認申請を出すときは、既存建物が違法に建てられたものでないことを証明しなければなりません。検査済証があれば問題ないのですが、平成10年くらいまでの建物で検査済証を取得しているのはなんと4割以下。


参考:再生建築のポイント1/遵法性の確保



バリアフリー関連


建築基準法の関連規定としてもうひとつネックになりそうなのが、バリアフリー法や福祉のまちづくり条例です。
これらはざっくりいうと「不特定多数人、高齢者、身障者が一定数利用するような建物はバリアフリーにしてね」というものなのですが、東京都で用途変更により保育施設を整備する場合、規模に関わらずバリアフリー化が求められます。つまり、既存建物の2階以上に保育施設をつくるときは、たとえそれがどんなに小さなものでもエレベーターの設置が必要、ということになります。保育園が賃貸で入居するなどはなかなかハードルが高そう...。


いずれにせよ、人が減って床が余る日本では、既存ストックを活用するという道を避けては通れません。ぜひガンガンやって欲しいものです!


2017.1.5追記
東京都では状況が変わりつつあり、用途変更においてバリアフリー化なしでも保育所等の設置ができるようになるかも知れません!



では、また!



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