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 既存を活かすからこその価値を😃

いまの法律にあっていなくても良いの?中古ビルを再生するとき


中古ビルの再活用がメジャーになってきています。オリンピック需要やアベノミクスで建設業界はバブルとなり、建設費用は軒並み高騰中。とてもじゃないが新築なんてできないよ、という方も多いはず。そういう事情もあってか、不動産オーナーの方から”この物件で100m2を超える用途変更ってできますか?”という相談もときどき受けます(意味がわからない方はコチラをどうぞ)。



既存建物は現行の法規には適合していない


リノベーションの対象になる中古ビルは、ほぼ100%で現行の法規にはあっていません。その建物が建ってから何十年も経過しているからです。時間の経過とともにいろんな法律が変わっていきます。そのため中古ビルは最新の法律には適合できるわけがないのです。


では、既存建物を改修する場合は、現在の法律にあわせなくても良いのでしょうか?


それは、以下の3点を整理すると判断できます。

  • 確認申請が必要な工事となるか
  • 違法部分があるか
  • 既存不適格の部分はどのようにすれば良いのか

確認申請が必要な工事か


リノベーションで確認申請が必要となるのは主に以下の工事です。

  • 増築
  • 用途変更
  • 大規模の修繕・大規模の模様替え


確認申請とは、計画する建物が法律にあっているかどうかをチェックするという手続きです。なので、確認申請をするということは今の法律に建物をあわせることが原則になります。



違法部分があるか


違法な中古ビルは確認申請ができません。リノベーションで確認申請をする際には違法な中古ビルでないことが、建築基準法で前提とされているからです。ただ、適合しないといけないのは、中古ビルが建った当時の法律であるという点には要注意です。今の法律に適合していなければならないわければありません。法律にあっていない建物は上記の3つの工事はできないということです。



ただし、違法な中古ビルでも是正することで確認申請ができることもあります。役所に確認申請を出すときは12条5項の報告を求められることがほとんどです。民間の審査機関では是正することを前提に確認申請を受け付けます、と約束してくれることもあります。



既存不適格の部分はどのようにすれば良いのか


では、既存不適格の部分はどうすれば良いのでしょうか?既存不適格とは、もともとは適法だったけれど、その後に法律が変わったためにいまの法律にはあわなくなった部分です。これは、現行の法規にあわせなければならない部分と、そのままにしておいて良い部分に分かれます。


現行の法規にあわせなければならない部分の例

  • 避難関係
  • 採光・排煙・換気
  • 消防設備


そのままにしておいて良い部分の例

  • 道路斜線・隣地斜線・絶対高さ制限
  • 建築面積・延べ床面積
  • 構造耐力

現状を分析すればベストなプランがみえてくる


建物のかたちは法律の制約を受けます。とくに中古ビルのリノベーションでは、

  • いまの法律にあわせないとダメなところ
  • 新築時の法律にあっていたからそのままで良いところ
  • 違法だから是正しないとダメなところ

ということが分かります。こうやって整理することで、中古ビルが再生できるのか、再生するにはどんな制約を受けるのかが見えてきます。そうすれば、あとはオーナーの要望にあわせてベストなプランが見えてくるのです。


道路斜線や容積率が既存不適格の中古ビルを考えてみます。建て替えると現状よりも小さくなるので収益的には建て替えは考えられない。こんなときは、それらは(新築時に適法だったと確認できれば)そのままにしておけます。採光や排煙などは現行基準にあわせるために、中古ビル内部はスケルトンまで解体し、間取り・設備・仕上げなどを全て一新すれば問題なし。


以上、今日は


中古ビルを再生するときには

  • 確認申請が必要な工事かどうか
  • 違法建築かどうか
  • 既存不適格の部分をどのように対処するか

をあらかじめ入念にチェックする必要がある


というお話でした。


では、また!